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クロメートメッキって何?効果や他のメッキとの比較

2023年02月02日

クロメートメッキを知っている方もいるのではないでしょうか。メッキにクロメート処理したものがクロメートメッキです。
亜鉛メッキの腐食防止を目的とした処理方法で、建設物や自動車などで使用されています。本記事ではクロメートメッキについて解説します。

クロメートメッキって何?効果や他のメッキとの比較

クロメートメッキとは

電解亜鉛メッキの腐食防止のための処理方法で、さびないように加工処理します。
加工処理方法を、一般的に「クロメート処理」と呼んでおり、処理液にメッキを浸し、被膜を生成、付加させる方法です。

被膜の厚さは平均すると0.3μmほどで、触れるとキズがつきやすいのが特徴です。
銀メッキ後に処理する場合もあり、アルミニウムの表面を保護する目的があります。
そのほか、低コストや塗料の密着性向上など、さび以外に期待できる効果があります。一方で、短所もあるため取り扱いに注意が必要です。

主な効果

電解亜鉛メッキの処理に多く使用され、代表的な効果は色味の調整や耐食性向上です。ほかにも、以下のような効果があります。

● 白さびの防止
● 塗料の密着性向上
● 低コスト
● 外観をきれいにする

クロメート被膜は3μmと非常に薄いのが特徴です。さらに自己修復機能があるため、白さび防止や耐食性を兼ね備えています。
仕上げとして使用される理由は、色味の調整ができる、外観がきれいになる作用がある、があげられます。

主な短所

優れた効果がある一方で、次にあげる短所があります。

● 六価クロムに毒性があり、環境に悪い
● 人が触るとキズがつきやすい

クロメートメッキに含まれている六価クロムは、クロムの中でも酸化数がプラス6と高く、河川に流せば環境問題を引き起こします。人体に取り込むと、吐き気や腹痛、皮膚炎を引き起こすので、扱い方には十分注意しなければなりません。

比較されやすい「三価クロム」に毒性はありません。河川や自然界でもごくありふれた物質です。
自己修復機能はありますが、触ると傷つきやすいので注意が必要です。

クロメートメッキは4種類

処理液にメッキを浸して、膜を生成し付加させる方法です。
クロメートメッキは4種類あります。

● ユニクロクロメート
● 有色クロメート
● 黒クロメート
● 緑クロメート

色や耐食性、耐久性が異なるため、使い方が異なります。

ユニクロクロメートメッキ

別名「光沢クロメート」と呼ばれ、色は青白いものと黄色いものの2種類です。
色の薄さは被膜の厚さと関係しており、厚いものほど耐久性が高くなるのが特徴です。
青白いものは色がきれいなため、外観を重視したものに使われます。

黄色くなるほど耐食性が強くなり、青白い色であるほど光沢性に富んだ電解亜鉛メッキになります。

有色クロメートメッキ

黄色が買った色が特徴で、光沢クロメートより耐食性が高いのが有色クロメートです。
キズがついても水溶性の六価クロムが染み出し、自己修復性が働きます。
熱に弱い欠点があり、80度以上の環境では著しく耐食性が低下します。

ヨーロッパでは有毒性があるため、使用の規制が進んでいますが、日本では建築資材などで使用されているのが実態です。

黒色クロメートメッキ

きれいな黒色をしているため装飾品に利用されており、耐食性を重視しないのが特徴です。
表面膜を生成するとき、硝酸銀を混ぜて作成します。
被膜に黒色の微粒子が分散するため、やや耐食性が劣ります。

また六価クロムの規制から、あまり使用されなくなりました。

緑クロメートメッキ

名前の通り外観がオリーブ色をしています。
クロメートメッキの中で最も被膜が厚く、耐食性が高いのが特徴です。
腐食が激しい環境での使用が可能なため、代表的な使用方法に自動車部品があります。

自己修復性が高く新たな使用方法が模索されていましたが、環境問題により使用機械が減少しました。

クロメートメッキとクロムメッキの違いとは

クロメートメッキとよく比較されるものに、クロムメッキがあり、ニッケルメッキの保護膜として使用します。
装飾用クロムメッキと硬質クロムメッキの2種類にわかれるのが特徴です。

クロムメッキは2種類

装飾用クロムメッキと硬質クロムメッキの2種類に分類できます。
違いは被膜の厚さであり、装飾用クロムメッキは0.2〜0.5μmで薄く、硬質クロムメッキは1〜200μmと厚いのが特徴です。

どちらも色はシルバーで耐食性に富み、電気を通して被膜を生成します。
装飾用クロムメッキは、見た目の光沢性を重視する水道の蛇口や自動車の外観に使用されます。
硬質クロムメッキは硬度が特徴であり、航空機や機械に使われることが多いです。

2種類を比較

被膜の厚さは、クロメートメッキと装飾用クロムメッキでほぼ同じです。
色味はクロムメッキの方が加工できるため、外観が重要視される製品に使用されます。
クロムメッキは生活雑貨や自動車の外観に使用され、クロメートメッキは内部部品に多く使用され、用途が異なります。

まとめ

クロメートメッキの特徴、種類を中心に解説しました。
クロメートメッキは六価クロムを使用し毒性があるため、三価クロムへの転換が進んでいます。
今後、環境問題による需要の低下にどう対応していくかがカギとなっています。