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溶融亜鉛メッキと電気亜鉛メッキの違いとは?SECCとSGCCの特徴とメリット・デメリットを解説

2023年07月13日

溶融亜鉛メッキ鋼板は「鋼板」に「亜鉛メッキ」を施工した処理板です。
電気亜鉛メッキと言い間違える方も多いですが、大きく内容が異なります。

この記事では溶融亜鉛メッキ鋼板の概要とSGCCとSECCのメリット・デメリットを紹介します。
また最後にはそれぞれの違いについて解説します。

溶融亜鉛メッキと電気亜鉛メッキの違いとは?SECCとSGCCの特徴とメリット・デメリットを解説

溶融亜鉛メッキ鋼板とは

はじめに概要と種類について紹介します。

亜鉛メッキ鋼板の特徴

亜鉛の膜で金属や樹脂の表面を成形する表面処理のことを指します。
銅板は無加工のまま使用すると錆びてしまいますが、亜鉛で加工することで錆を防ぐことが可能です。

亜鉛と聞くとビタミンAの代謝向上や生活習慣病の予防などの栄養素をイメージする方もいらっしゃいますが、鋼板に加工することで酸化防止につながる特徴を持ち合わせています

鉄と比較すると亜鉛は酸化するのが早い特徴を持ち合わせているため、小さなキズで鉄が表面にむき出しになっても亜鉛の方が早く腐食するため、鉄の劣化を防ぐことが可能となります。

亜鉛メッキ鋼板の種類

「溶融亜鉛メッキ」と「電気亜鉛メッキ」の2種類に分かれます。

溶融亜鉛メッキ(SGCC)・・・亜鉛を加熱し、溶かして銅板に漬け込む方法です。
厚みのあるメッキにすることができるため、非常に丈夫です。
長期間の耐久性能を持ち合わせている一方で、熱に弱く、夏場など高温な状態が続くとひずみが生じます。

電気亜鉛メッキ(SECC)・・・鉄素地を亜鉛メッキ液に浸け、電気を通すことで分解し皮膜を形成させる方法です。
厚みが均一で薄くなる特徴があり、塗装や家電外板、自動車用外板などに使用されます。
しかしそのまま使用できるわけではなく、クロメート処理が行われるのが一般的です。

SGCCの特徴

ここではSGCCのメリット・デメリットを紹介します。

メリット

・耐食効果が高く、長期間持続しやすい
・安価で入手できる
・加工性が高い

溶融亜鉛メッキは冷間圧延鋼板(SPCC)を母材とした材料です。
SPCCは鋼材の中でも柔軟性が高く、加工性が高い特徴がある鉄素材の一つであり、板金に最も使用されています。
電気亜鉛メッキと比較すると耐食性を持ち合わせているメリットがあります。

デメリット

・独特の模様が浮かび上がる(スパンクル)
・加工時にメッキが剥がれてしまうこともある

溶融亜鉛メッキは清算中に亜鉛と不純物が結晶となり、幾何学的な模様である独特なデザインのスパンクルが発生する場合があります。
そのため見栄えやデザイン性に影響がでる場合もあります。

とはいえ人によっては芸術的で美しいと捉える方もいらっしゃいます。
また加工時のプレスをかける際、メッキが剥がれてしまったり、亜鉛が機会に付着する可能性もあります。

SECCの特徴

続いてSECCのメリット・デメリットを紹介します。

メリット

・安価で入手できる
・表面が美しい
・塗装性が高い
・耐食性が高い

電気亜鉛メッキは表面につやがないグレー色で美しく、厚みも均一性が高い特徴があります。
またSGCC同様価格もほとんど同じで入手することもでき、塗膜にキズなどが付いた場合でも、サビが広がりにくいというメリットがあるため塗装性が高いです。

また15℃~35℃の温度でサビを防ぐ効果を持ち合わせているため、常温でも防サビ効果が高いという特徴を持ち合わせています。

デメリット

・クロメート処理が必要なため溶接性が低い
・屋外には弱い

SECCはクロメート処理が必要となるデメリットがあります。
クロメート処理とはクロム酸塩とジェル状酸化被膜を形成する処理方法であり、亜鉛加工と2重で行うため耐食性が高くなることから、施工側の手間がかかるだけであって、一概にデメリットとはいえません。
さらに防サビ効果だけでなく、汚れも付きにくいです。

しかしSECCは基本的に水分に弱いため、屋外での使用には適していません。
ただししっかり塗装すれば防水性も高まるため、屋外でも使用できるようになります。

SGCCとSECCの違いとは?

それぞれ製造方法が異なるのはもちろん、性能などにも違いがあるため、分かりやすくするためにも以下の表にまとめました。

SGCC SECC
価格 ほとんど同じ(1キロあたり150年)
強度 ほとんど同じ
溶接性 高い 普通
耐食性 高い 非常に高い

SGCCは溶かした亜鉛を直接鋼板に浸して施工するため、溶接性が高い特徴を持ち合わせています。
一方でSECCは電気を用いて塗布するため、溶接性は普通です。

しかし耐食性が高いという特徴があります。
どちらが優れているとは一概にはいないため、それぞれの特徴を理解して使い分けることが大切です。

まとめ

今回は溶融亜鉛メッキ鋼板と電気亜鉛メッキの特徴とメリット・デメリットを紹介しました。
それぞれ加工方法が異なりますが、価格は同じ程度です。

しかし使用用途や耐食性が異なる特徴があります。
またデザイン性などにも違いがあるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。