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スズめっきとは?スズの特徴からスズめっきの使用例までを一挙紹介!

2023年08月14日

皆さんは、スズめっきについて知っていますか?
そもそもスズという金属になじみの無い方も多いかもしれません。
しかしスズは、金属の腐食を抑える効果のほかにさまざまな良いところを持った金属です。

そこで今回は、スズという金属の紹介からスズめっきの使用例までを紹介します。

スズめっきとは?スズの特徴からスズめっきの使用例までを一挙紹介!

スズめっきとは?スズという金属の特徴から紹介!

スズめっきとは、対象物の表面にスズという金属のめっきを施す手法です。
そのため、スズめっきは対象物に以下のようなスズ本来の特性を付加する効果があります。

・腐食を抑える働き
・破断しにくく柔軟に変形できる
・他の金属に比べて融点が低い
・自己潤滑性を持っている
・人体に毒性が無い

上記の特性により、スズははんだ付けに使われたり、ベアリングなどの摺動部にめっきすることで摩擦力を少なくしたりとさまざまな場面で使われています。
また、スズは毒性が無く加工しやすい特徴もあるので、非常に扱いやすい素材だと言えるでしょう。

スズめっきにはどのような種類がある?

前項では、スズという金属の特性からスズめっきを紹介しました。
では、スズめっきにはどのような種類があるのでしょうか?
本項では、スズめっきの種類をめっき浴の違いから解説します。

アルカリ性スズめっきはいろいろな形に対応できる⁉

アルカリ性スズめっきのめっき浴には、カリウム浴とナトリウム浴があり、より電気を通しやすいカリウム浴が広く使われています。
またアルカリ性スズめっきには、カリウム浴とナトリウム浴のどちらのケースでも銀白色で柔らかい皮膜を形成する特徴があります。
それに加えて、複雑な形状にも皮膜の厚みに偏りができにくいので、対応できる部品の多いめっき浴と言えるでしょう。

しかしながら、アルカリ性のスズめっき浴は温度の管理が難しく、温度が低くなると極板が電気の通りにくい性質に変化するケースもあるので、常に高い温度を保つ必要があります。
そのため、作業の環境が悪くなったり、めっき浴の濃度が変化しやすかったりするデメリットもあります。

酸性スズめっきは仕上がりが速いことが特徴⁉

酸性スズめっきのめっき浴には、硫酸浴が使われていることが多く、外観の光沢を調整しやすい特徴があります。
また、めっきを形成するスピードが早かったり、アルカリ性スズめっき浴とは違い常温で扱えたりと作業性に優れていることも魅力です。
しかしながら、皮膜の厚みに偏りが生じたり、めっき浴の強酸が素材を腐食したりとアルカリ性のスズめっき浴とは違う特徴を持ちます。

中性スズめっきは限定的だけど重要な役割がある⁉

中性スズめっきは、電気製品の外面などに使用されているガラスや樹脂などにスズめっきを施す手法です。
ガラスや樹脂は、アルカリ性のスズめっき浴や酸性のスズめっき浴に使われる強酸や強アルカリに弱いため、有機カルボン酸などをベースとした中性の溶液が必要です。
しかしながら、浴電圧が高いなど扱いが難しい面もあるため、限定的な用途で使われています。

スズめっきを使うメリットは?スズめっきの特徴と使用例を紹介!

前項では、スズめっきの種類をめっき浴の違いから解説しました。
では、スズめっきはどのような使われ方をしているのでしょうか?
本項では、スズめっきを使用する際のメリットやデメリットから使用例までを紹介します。

スズめっきはどのようなメリットとデメリットがある?

本項では、スズめっきを使用するメリットとデメリットを紹介します。
下の表は、スズめっきの主なメリットとデメリットをまとめたものです。

メリット
  • 腐食を抑える働きがある
  • 破断しにくく柔軟に変形できる
  • 他の金属に比べて融点が低い
  • 自己潤滑性を持っている
  • 人体に毒性が無い
デメリット
  • ウィスカが発生することがある

スズめっきは、スズ本来の特性である腐食を抑える働きに加えて、素材の柔軟性を活かした高い汎用性と扱いやすいさを実現しています。
一方でスズめっきには、ウィスカと呼ばれるひげ状の金属単結晶を自然成長させる特性があり、成長したウィスカが電子回路や接続部をショートさせたりするデメリットがあります。

そのため、スズめっきの下地にニッケルや銅のめっきを施したり、スズと銅などの合金を使用したりしてウィスカのリスクを予防する必要があります。

スズめっきはどんなところで使われているの?

スズめっきは前項で紹介した通り、多くのメリットがあるため、以下の用途で使われています。

・はんだ付け
・電子回路の接点
・ベアリングなどの摺動部品

その他にも、スズめっきには窒化を防止する役割があります。
窒化とは、アンモニアガスなどの窒素を含むガス中で鉄鋼を過熱すると、窒素が鉄鋼に浸透し硬化する性質を指します。
そこで、素材の硬化を避けたい部分にスズめっきを施し、窒化を防止することで素材の硬度を部分的に調整することができます。
このように、スズめっきはさまざまな分野で役割を果たしていることがわかります。

まとめ

今回は、スズめっきの特性や種類から使用例までを解説しました。
スズめっきは、スズ本来の特性を活かした働きがあり、扱いやすいことがわかりましたね。
本記事を参考に、スズめっきの知識を深めていただければ幸いです。