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無電解ニッケルメッキの色は?特徴からメリット・デメリットまで紹介

2023年02月10日

無電解ニッケルメッキは、ほかの金属のように時間経過で錆びる心配がありません。
そのほかにもどのような特徴があるのか気になるところです。
特徴を理解すれば、使用方法がわかります。

本記事では特徴からメリット・デメリット、錆や変色した場合のメンテナンス・手入れ方法を紹介します。
使用の参考にしてください。

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無電解ニッケルメッキの色は?特徴からメリット・デメリットまで紹介

無電解ニッケルメッキの2つの特徴

ニッケルメッキは無電解と電解で異なる特徴があります。
区別するための特徴を2つ紹介します。

● メッキは化学反応
● 黄身がかったシルバー色

通電が必要なく化学反応でメッキ加工し、色は黄身がかったシルバーです。
色だけではどちらか判断しにくい部分もありますが、特徴を整理していきましょう。

1.メッキは化学反応

ニッケルメッキには電解と無電解があります。
無電解ニッケルメッキは電気が必要なく、薬品との化学反応でメッキが可能です。
さらに非導電性素材へ加工できます。

例えば、電子部品や工作物の寸法精度を高く行いたい場合によいでしょう。
寸法誤差をなくし、精度を保ちたい場合は無電解ニッケルメッキが適しています。

2.黄身がかったシルバー色

一般的に無電解ニッケルメッキの色は、黄身がかったシルバーです。
ほかの鉄金属の色と比べると、くすみがかった銀色です。
ただし、銀色の金属はほかにも多くあるため、見かけの色ではわかりにくくなります。

無電解ニッケルメッキは黄身がかったシルバーです。
ほかの金属と間違えてしまう可能性もあるため、特徴は必ず理解しておきましょう。

無電解ニッケルメッキ4つのメリット

使用する際のメリットは次の4つです。

● 通電必要なし
● 合金メッキになり色が変わる
● 膜厚が平均的で精度が高い
● 穴が少ないためメッキの錆を防げる

電気が必要なく、精度を維持したい場合や時間経過による錆への対応ができます。
順番に確認しましょう。

1.通電必要なし

通電が要らず化学反応によって電子を作れるため、電極による位置ムラがありません。
しかし、電解ニッケルメッキはメッキの際に電気が必要になり、皮膜癒着が平均的に行えません。

平均的に皮膜生成ができれば、誤差がなくメッキ加工できます。
メッキの精度が高く行えるため、複雑な形状の素材にも対応ができます。

2.合金メッキになり色が変わる

合金メッキとは、2種類以上の金属が合わさったものです。
合金メッキになると、単一ではできない以下のようなメリットが増えます。

● 耐食性
● 耐摩耗性
● 色調
● 展性
● 磁性
● 硬度
● 融点

無電解ニッケルメッキは、黄身がかったくすんだ銀色でしたが、合金メッキでは黒色に変化します。
単一にはなかった特徴が、メリットとして増えるのは嬉しいポイントです。

3.膜厚が平均的で精度が高い

無電解ニッケルメッキは膜厚が平均的で、ムラがなくメッキの精度を高くします。
平均的に膜厚ができるため、複雑な形状であっても加工が可能です。
寸法精度を求められている場合にも対応ができます。

また、ムラがないのも無電解ニッケルメッキの特徴ですが、維持のために管理が重要となります。
膜厚は耐食性と結びつくため、しっかりと維持・管理しましょう。

4.穴が少ないためメッキの錆を防げる

ピンホール(小さな穴)が少ないため、メッキに起こる錆の対処ができます。
メッキによってピンホールが起こる原因は以下の通りです。

● 処理不足
● 異物混入
● 老化物

電解ニッケルメッキにピンホールができると、その部分から錆が発生します。
しかし、無電解ニッケルメッキはピンホールが発生しにくいため、錆もできにくく耐食性に優れているでしょう。

 

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無電解ニッケルメッキ4つのデメリット

使用する際のデメリットを4つ紹介します。

● 管理や維持が難しい
● 熱に弱く変色が起きる
● コストが高い
● 老化液により亜リン酸が発生する

高機能ですが管理・維持が難しく、熱処理によって変色が起きてしまいます。
対処法やメンテナンス・手入れについて紹介します。

1.管理や維持が難しい

無電解ニッケルメッキは膜厚管理・維持が難しく、誤ると不良が起きてしまいます。

● 膜厚不良
● 光沢不良
● ピンホール発生

以上のような不良が発生しないように、管理を徹底しましょう。
膜厚管理のための調整方法は以下の通りです。

● 時間を計測して膜厚を調整する
● X線を使って膜厚を確認する
● 事前に膜厚を継続してメッキ後の膜厚と比較する
● ダミーを作成して断面観察する

適切な条件で管理・維持しましょう。

2.熱に弱く変色が起きる

時間経過による変色がない無電解ニッケルメッキですが、300度を超える熱処理は酸化して変色する場合があります。
酸化や変色を防ぐ方法は以下を参考にしてください。

● 300度以下で熱処理を行う
● 窒素雰囲気で熱処理を行う
● ホウ素メッキに変更する

熱処理を低い温度で行うと酸化・変色を防ぐことが可能ですが、低い硬度になります。
硬度を上げる場合は、耐摩耗性もある無電解ニッケルホウ素メッキに変更を検討してもよいでしょう。

3.コストが高い

電解ニッケルメッキと比べて、加工コストが高い点が特徴です。
低コストですが、複雑なものへのメッキが難しくピンホールが発生しやすくなります。
形状が斬新なものへのメッキができるのが特徴です。
状況によって使い分けをしてください。

4.老化液により亜リン酸が発生する

無電解ニッケルメッキは反応生成物質として、老化液・亜リン酸が発生します。
無機化合物の亜リン酸が溜まると加工速度が遅くなり、さらに廃液となります。
亜リン酸は正リン酸と比べて溶解性が高いのが特徴です。

まとめ

本記事では、無電解ニッケルメッキの特徴からメリット・デメリットまでまとめました。
メッキの際、電気が必要なく時間経過による錆が発生しないなどが特徴として挙げられます。

また、ピンホールが発生しにくいため精度を高くしたい場合は、無電解ニッケルメッキが適しています。
ただし、熱処理により酸化・変色が起こる場合や加工コストが懸念材料です。
今回紹介した特徴を踏まえ、使用を検討してください。

 

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