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電解・無電解めっきの特徴から使用例をやさしく丁寧に考察!

2023年02月12日

おしゃれな製品を作りたい、耐久性を高めたい、防錆効果を期待したいといった需要に応えるために、活用できる技術があります。
しかし、電解めっきや無電解めっきといった言葉が出てくると初心者にとってはよくわからないものです。

そこで、電解めっきと無電解めっきの特徴や使用例を初心者にもわかりやすく解説していきます。
使用例の知見を深めれば、自分の目的に合っためっき技術の選択に自信が持てるはずです。

それでは、電解・無電解めっきの特徴から使用例を考察していきます。
製品の要件に合っためっき技術を選択し、より素晴らしい製品を製作できるでしょう。

 
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電解・無電解めっきの特徴から使用例をやさしく丁寧に考察!

初心者も納得!電解めっきと無電解めっきの違いを解説

電気めっきを大きく分けると、電気を使う「電解めっき」と、電気を使わない「無電解めっき」の2種類があります。

この2つの電気めっきの大きな違いは、加工したい対象物の表面に皮膜を形成させる方法です。
電解めっきでは、電流を使って表面に金属皮膜を形成します。

無電解めっきは、表面に金属皮膜を形成するために電流を流す必要はありません。
化学反応によって対象物の表面に金属皮膜を形成させます。

また、無電解めっきは金属を均一にめっきできますが、電解めっきはめっきが不均一になったり、しみたりする場合がある点が特徴です。
プラスチックやセラミックなどの非導電性の表面にもめっきができるのは、無電解めっきの特徴です。

つまり、電解めっきと無電解めっきの技術的手法は違いますが、対象物の表面に金属膜を形成する点は同じです。
それぞれの方法は独自の利点を持ち、めっきされる対象物の特定要件に応じて異なる用途で使用されています。

なるほど!めっきの作り方と原理を解説:電解と無電解の違い

めっき処理には、湿式めっきと乾式めっきの2種類があります。
湿式めっきは電気めっきとも呼ばれ、析出させる金属イオンを含む電解質溶液に被めっき物を浸し、電流を流して金属イオンを付着させる方法です。

このように、電気を使って金属を付着させるため電気めっきと呼ばれています。
湿式めっきはさらに、電解めっきと無電解めっきの2つに分類されます。

一方、乾式めっきは気化式めっきとも呼ばれ、液体の電解質溶液を使いません。
真空中で金属を蒸発させ、対象物の表面に凝縮させて析出させます。
薄く耐久性のあるコーティングを施すためによく使用される方法です。

つまり、めっき処理の湿式めっきと乾式めっきは、めっきに使用する溶液が液体であるか、固体であるかによって区別されます。

電気めっきの作り方

電解めっきの作り方は、以下のような手順で行われます。

1. 基材を洗浄し、めっきの接着剤となる金属を塗布
2. 基材をめっき液に浸す
3. 陽極と陰極の設置:めっきする金属でできた陽極と、基板でできた陰極を電解質溶液の中に設置する
4. 電流を流し、陽極と陰極に直流電圧をかけ、陽極の金属イオンを陰極の表面に引き寄せ、析出させる
5. 目的の厚さのめっき層ができたところで電流を止め、めっきを施した部品を槽から取り出し、水洗いして乾燥させて仕上げる

めっき層の厚さや質は、電解液の濃度、電圧、液温、基材が液中にある時間など、
さまざまな要因によって決まります。

無電解めっきの作り方

無電解めっきの作り方は、以下のような手順で行われます。

1. 基材の表面を清掃し、油や汚れを取り除く
2. 基材をめっき液に浸す
めっき液は、金属イオンが溶け込んだ水溶液や有機溶剤で構成されています
3. めっき液中にある金属イオンが基材表面に吸着し、金属の薄い皮膜を形成させる
4. 金属皮膜が基材表面に十分に形成されたら、基材をめっき液から取り出し、水で洗浄する
5. 最後に、乾燥させる

皮膜の厚さは、浸漬時間と溶液中の金属イオンの濃度によって調整を行います。

このように、無電解めっきでは電気を使わずに、めっき液中に含まれる金属イオンを基材表面に吸着させてめっきを行います。

 

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一覧表でみる電解めっきと無電解めっきのメリット・デメリット

電解めっきと無電解めっきのメリット・デメリットを一覧表にまとめました。

電解めっき
メリット デメリット
平板プレートなどであれば膜厚が均一であるため製品の美観にバラツキがない 複雑な形状は、膜厚が均一ならない。補助極を使用しつつ試作を重ねる必要がある
無電解めっきに比べ製作コストが安価 膜厚管理が難しいため、高精度の製品は不得意
溶剤管理や温度調整が難しくないため自動化しやすい 導体でなければめっき処理できないため素材が限られる
無電解めっき
メリット デメリット
複雑な形状でも膜厚が均一であるため製品の美観にバラツキがない 90度前後で処理するため熱の影響を受ける素材対応ができない
耐摩耗性が優れている

 

材料費が高い
不導体にも可能であり、対応できる素材が多彩である 溶剤の薬品管理や温度調整の管理に技術力が必要

このようにそれぞれのめっきにはメリット・デメリットがありますので、特徴を理解して使い分けるのが大切です。

知らなかった!意外と身近にある活用分野と使用例を紹介

電解・無電解めっきは多様な活用分野があり、めっき無しでは生活できないくらいめっき製品は身近にあふれています。
使用例を含めて一部紹介していきます。

活用分野 使用例
半導体業界 スマートフォン、タブレット、コンピューター、メモリーデバイス

基板表面の清浄化や脱脂処理に使用される

電子機器産業 携帯電話の外枠にめっきを施す、外観の向上と耐傷性のコーティングが可能
光学産業 眼鏡のフレームにめっきを施し、耐久性や耐傷性を高める
自動車部品 ホイール、トリム、エンブレムなどの自動車部品にめっきを施し、外観の向上や防錆を図る
時計産業 時計のケースやバンドにめっきを施す、外観の向上や耐傷性の付与が可能
住宅設備機器産業 蛇口、シャワーヘッド、流し台の排水口などの配管設備にめっきを施し、外観の向上や腐食防止に利用
食器製造業 ナイフやフォークなどのステンレス製キッチン用品にめっきを施す、仕上がりと耐食性を向上させる
ファッション産業 ベルトやバックル、ハンドバッグの金具など、ファッションアクセサリーの光沢仕上げにめっきが使用
ジュエリー産業 金、銀、そのほかの金属の薄い層を宝飾品に形成するために

使用

スポーツ界 ゴルフクラブ、テニスラケット、自転車などのスポーツ用品には、 表面保護と光沢のためにめっきが使用

まとめ

電解めっきと無電解めっきの特徴や違いを初心者にもわかりやすく解説してきました。
活用分野や使用例を挙げてめっきをより身近に感じてもらえたのではないでしょうか。
各分野で必要な要求や仕様を理解して、この製品にはどのような表面処理が向いているのか、この素材にはどのようなめっきができるのかなど知識や経験を深めていきましょう。

本記事を読めば自分の目的に合っためっき技術を選択できるようになれば幸いです。

 

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