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無電解ニッケルメッキが錆びる原因と防錆効果を高める方法を解説

2023年02月11日

無電解ニッケルメッキは、耐食性、耐摩耗性に優れているので、広く利用されているメッキ方法です。
しかし、適切なメッキ処理を施しても、さまざまな要因でメッキ金属が錆びる場合があります。

本稿では、無電解ニッケルメッキの腐食の原因を解説し、メッキ金属の耐食性を向上させるための効果的な方法を紹介します。
腐食の根本的な原因を理解し、適切な前処理・後処理工程などの対策を講じていけば、無電解ニッケルメッキの防錆効果を大幅に向上させられるでしょう。

株式会社ブラザーでは、自動車部品の表面処理加工(メッキ加工)、半導体製造装置や液晶製造装置の表面処理加工を行なっています。
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無電解ニッケルメッキが錆びる原因と防錆効果を高める方法を解説

無電解ニッケルメッキとは?

無電解ニッケルメッキは、無電解メッキの一種で、金属やプラスチック基板にニッケル-リンまたはニッケル-ボロン合金の層を析出させるために使用される方法です。

電流を流す電解メッキとは異なり、無電解メッキは化学的還元作用によって金属を基材に析出させます。
そのため、複雑な形状や表面でも均一な金属を析出させるのが可能です。

無電解ニッケルメッキは、耐食性、耐摩耗性、表面硬度の向上を目的として、航空宇宙、自動車、電子機器、医療機器などの産業で広く使用されています。

無電解ニッケルメッキは防錆効果がある

無電解ニッケルメッキの防錆効果について、メッキ層の密度、耐薬品性、表面粗さの観点から簡単に説明します。

1. メッキ層の密度が均一で表面に凹凸がなく、金属粒子が表面に均一に分布しているため、高い防錆効果が期待できる

2. 皮膜中にリンやホウ素を含むため耐薬品性に優れている
酸性やアルカリ性の物質による腐食に強い

3. 無電解ニッケルメッキの組成は、耐食性を向上させるための特定の要件に合わせて調整可能
添加量を調整したり、そのほかの合金元素を添加したりして、メッキ層の耐食性をさらに向上できる
無電解ニッケルメッキはこのような観点から高い防錆効果が期待できるのです。

無電解ニッケルメッキを施しても金属が錆びる?その原因を解説

無電解ニッケルメッキを施しても、環境条件、表面処理、メッキの厚さなどの要因で金属が錆びる場合があります。
これらの要因を理解するのは、最適な耐食性を確保するために非常に重要です。
では、錆が発生する3つの理由を解説します。

1. 表面処理不良

メッキ前の洗浄や下地処理が不十分な場合に、汚染物質や酸化物が付着しやすくなるため、錆の発生につながります。

2. ピンホール(穴孔)

メッキ層にピンホールがあると、水分や腐食剤が浸透し、錆の発生につながります。

3. 過酷な環境

適切なメッキを施した場合でも、海水、酸、高湿度などの過酷な環境に晒されると、無電解ニッケルメッキの腐食が進み、錆が発生する可能性があります。

錆による懸念点

メッキ不良は、錆の原因となり構造的な損傷や金属の外観を損ない、修理や交換のコスト増につながる可能性があります。

構造部品 錆は材料を弱め、耐荷重性を低下させ、致命的な故障につながる可能性があります。
装飾品 美観のための部品は、錆によって外観が損なわれ、その価値が低下する可能性があります。
コスト 錆びた部品の修理や交換には多額の費用がかかるため、メーカーとエンドユーザーの双方にとって出費の増加につながります。

関連するリスクを最小限に抑えるために、適切なメッキ技術と品質管理手段を確保するのが極めて重要です。

 

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防錆効果を高めるには「事前準備」と「前処理」が重要

前処理を適切に行い、最終的な使用環境を考慮すると、既にその効果が知られている無電解ニッケルメッキの耐食性を高められます。
これにより、機器や部品の寿命を延ばせるでしょう。

防錆効果を高める「事前準備」

使用環境の確認内容は以下の通りです。

● 使用環境の温度、湿度
● 化学物質、海水、そのほかの腐食性物質の有無
● 湿気や水、紫外線への暴露の度合い

高温、高湿度の環境をはじめ、上記のような環境に晒されると錆びやすくなるため、より一層注意が必要なのです。
使用環境について事前に調査をして、メッキの厚さなどを検討するとよいでしょう。
メッキを厚くした方が錆びにくくなるからです。

防錆効果を高める「前処理」

油や不純物が付着した状態でメッキを施すと錆びやすくなります。
無電解ニッケルメッキを錆びにくくするためには、以下のように被メッキ物の表面に十分に前処理を行うのが有効です。

防錆効果を高める前処理の方法は以下の3つです。

1. 被メッキ物の表面を十分に洗浄し、表面に付着している錆や腐食を除去する
2. メッキの密着性を高めるため、部品表面を酸洗浄やアルカリ洗浄などで活性化する
3. 温度、pH、攪拌などの環境条件を管理し、均一で高品質な析出を確保する

無電解ニッケルメッキは、適した使用環境を正しく理解し、基材やメッキ工程を慎重に準備すると、優れた耐食性を発揮し、錆などの腐食から保護できるでしょう。

まとめ

無電解ニッケルメッキは、金属表面の耐久性と寿命を大幅に向上させられる効果的な防錆方法です。
しかし、無電解ニッケルメッキを施す際に適切な表面処理が行われていないと錆が生じやすくなってしまいます。

適切な表面処理技術を選択し、推奨される方法を行うと、無電解ニッケルメッキの最適な防錆効果を高められます。
また、表面処理以外にも使用環境やメッキの厚さなどが錆の生じやすさに影響を与えていますので、防錆効果を高めるためには「事前準備」と「前処理」をしっかり行うのが大切です。

本記事の内容を参考にして、防錆効果を高めて無電解ニッケルメッキを活用しましょう。

 

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